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英語イマージョン教育とは


(1)イマージョンの意味

英語にimmersionという単語があります。「浸すこと」という意味です。英語イマージョン教育のイマージョンとはこの単語の発音をそのままカタカナで表わしたものです。「浸すこと」から容易に推測できるように、イマージョンとは手短に言うと、外国語に浸してしまうことでその外国語を習得させてしまう方法です。しかし「浸してしまう」ということは、単にその外国語をどんどん与えて習得させるという意味ではありません。例えば理科や社会といったある教科をその外国語で学ぶことで、自然とその外国語を習得するという方法です。
イマージョンにはいろいろな言葉を対象としたものがあります。例えば学ぶ対象の外国語がスペイン語の場合には、スペイン語イマージョン教育と呼ばれます。同じようにフランスが対象であればフランス語イマージョン教育となります。もちろんドイツ語イマージョン教育、ロシア語イマージョン教育、日本語イマージョン教育、中国語イマージョン教育などもあります。このようにいろいろな言葉のイマージョンがあり、外国語習得の最も効果的な方法として世界のいろいろな国や地域でたくさんの人々が学んでいます。
そして英語が習得の対象の場合が英語イマージョン教育なのです。

(2)英語を学ぶのではなく、英語で学んで英語を自然に習得するのが英語イマージョン教育

英語イマージョン教育とは、理科、社会、体育、音楽、図工などといった授業を英語で教えることにより、生徒に自然に英語を習得させる教育プログラムです。つまり英語イマージョン教育とは英語を学習することを目的とするのではなく、教科を学ぶ手段として英語を使うことを通して英語を自然に習得させる教育のことを言います。
「教科を学びながら英語も学ぶなんてことは出来っこない」と考える人がたくさんいると思います。ところが実際には高い成果があがっているのです。
例えば、オーストラリアの地理を英語イマージョンで学ぶ場合、生徒たちはオーストラリアの地理について英語で書いた物を読んだり、それを紹介する英語のビデオを見たり、オーストラリアの人々と電子メールを通じてやりとりしたりします。また自分が獲得した知識を、英語を使って他の生徒に伝えたりクラスに発表したり、学んだことについてレポートを書いたりします。英語イマージョン教育の活動では、このように英語を使う意義と目的が生まれます。そして英語を理解しなければいけない、あるいは使えなければいけない必要性が出てきます。

(3)英語イマージョン教育は愛情を我慢強さにあふれた英語のネイティブスピーカーが教える授業

英語イマージョンの授業は英語のネイティブスピーカーである教師が担当します。そして教科の学習の指導には英語だけを使用します。生徒が理解できない時には、必要に応じてボディランゲージ、ジェスチャー、視覚教材など利用できるものは何でも利用します。そして生徒の理解を助けます。
このように教師からの指示はすべて英語で行われます。授業では教師は生徒とのコミュニケーションに重点を置き、教科内容を理解させることを目的に行われます。そのため、言語習得の発達段階でよく起きる文法的な誤りの矯正はなるべく控えます。そして生徒が積極的に発言することを奨励します。

(4)英語のネイティブスピーカーと同等の英語を習得させる英語イマージョン教育

このような環境で学習する英語イマージョン教育は英語習得に目覚しい成果をあげています。一般にイマージョンの生徒はネイティブに近い発音を身につけ、早い時期にネイティブスピーカーと同等レベルの聴解カを達成します。またイマージョンクラスの体験を通して言語感覚が鋭くなるために、イマージョン教育以外のプログラムの生徒に比べてコミュニケーション能力が高い、発想・思考が柔軟でパターンの認識や問題解決の試験でもすぐれた能力を示すという報告もあります。

(5)イマージョン教育の歴史

イマージョン教育は北米では40年以上の歴史があります。イマージョンプログラムが最初に採用されたのは、1965年、英仏両語が公用語であるカナダのケベック州(フランス語圏)でした。両親ともに英語が母国語でフランス語のバックグラウンドがまったくない子どもたちにフランス語を導入する教育法としてイマージョンプログラムが開始されました。このプログラムが始められたきっかけは、子供の教育に熱心な親たちからのバイリンガル教育への強い要望でした。多数の文化、言語が交錯する杜会で自信を持って前向きに生きていけるように、そして教育を受ける面でも、また職業につく上でも、さらに日々の活動の場がより広がるためにも、子供をバイリンガルに育てる必要があると考える親が多かったのです。このイマージョン教育法はその高い効果を認められ、親や教育関係者、そして第二言語習得分野の研究者たちから力強い支持を得ました。そして急速に北米全体にまで普及しました。アメリカでの普及はとくに公立校でみられ、今日ではスペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、オランダ語、アラビア語、ロシア語またポリネシア語などのイマージョンプログラムが存在します。その数は1991~1992年度では総数142校でした。そしてそのうちの9校は日本語イマージョンプログラムでした。
それからさらに10年、イマージョン教育は一気に勢力を拡大し、現代ではアメリカにおける言語習得の最も有力な方法となっています。
イマージョン教育が行われているのは初等、中等教育の段階だけではありません。南米、アフリカ、アジア諸国の大学では多くの教科が英語で行われています。これも英語イマージョン教育です。そうした意味からいうと、英語イマージョン教育が最も盛んなのは、南米、アフリカなどの大学だと言えるかもしれません。

(6)英語イマージョン教育の様々な形態

英語イマージョン教育には実践する地区や各学校の条件により様々なタイプがありますが、教育の導入時期の違いと英語の頻度により次のように分けられています。

1.導入時期による英語イマージョン教育の分類

(A)早期英語イマージョン    幼稚園、あるいは小学校1年生から始める
(B)中期英語イマージョン    小学校4年生以降に始める
(C)後期英語イマージョン    中学校か高等学校で始める

2.教科の指導に英語を使用する頻度による英語イマージョン教育の分類

(A)全体イマージョン
教育の初期の段階では、全ての教科の授業が英語で行われます。学年が上がるにしたがい第一言語(私たちの場合には日本語)による授業が徐々に増えていきます。
(B)部分イマージョン
英語イマージョン教育が始まる段階で、カリキュラム全体の教科を第1言語(私たちの場合には日本語)で授業を行なう科目と、英語で授業を行なう科目に分けて指導します。国の違いにかかわりなく、英語部分イマージョンを実施している学校では教育の初期の段階では、第一言語と英語の使用率は5割ずつで、算数、理科、および体育などの教科を英語で指導する傾向が強いといわれています。
これらの科目がイマージョン教科に選ばれる理由としては「教科の指導に使用される表現に命令形が多く具体的である」ことや「授業中の学習活動に実践的・参加型の活動が多く自然な言語習得が起こる状況が作りやすい」ということなどがあげられています。

3.新しい形態-双方向英語イマージョン

例えばアメリカの場合は、英語が母語である生徒が半分、スペイン語が母語である生徒が半分いるという状況で、全員の生徒に対してカリキュラムの半分を英語で後の半分をスペイン語で行うという方式のイマージョン教育が行われています。この方式の利点は、それぞれの言語のネイティブスピーカーがいることから、生徒にとっては外国語にあたる言語を聞く分量もかなり増え、それを使う動機付けも普通のイマージョンより強まるという点だと言われています。アメリカではこのタイプのイマージョンプログラムが近年急激に増えています。2000年に報告された校数は261校でしたが、今ではその数倍になっているといわれています。

(7)英語イマージョン教育の目標

英語イマージョン教育は次のような4つの明確な目標を持って実践されています。
第1の目標は、英語に熟達することです。英語習得の創意工夫をこらした環境で様々な学習活動を行うことで、英語のネイティブスピーカーに近い言語能力を身につけ、意思疎通を英語で自由に行なえるコミュニケーション能カを養うことを目標としています。
第2の目標は、第一言語(私たちの場合には日本語)の運用能力を保持し、それをさらに伸ばすことです。

第3の目標は英語イマージョン教育を受けている生徒の一般学習能力を着実に育て、全教科の教科内容を学齢にふさわしいレベルで習得することです。英語イマージョン教育の成果は、生徒の英語能カのみで判定されるのではありません。生徒の学業成績が英語イマージョン教育を受けていない生徒の成績と同等もしくはそれ以上に達した時、英語イマージョン教育の成果が認められるのです。
第4の目標は、杜会文化能力の育成です。世界のボーダーレス化が進む今日、世界的視野を得て、他の言語、文化を尊重し共存することが必要とされています。生徒自身が異なった言語および文化を尊重し、それらを理解する姿勢を築き、同時に自己のアイデンティティーや母文化に対する敬意の念を新たに見出すことを目標とされています。
このような目標をもって行われる英語イマージョン教育に今まで参加してきた生徒たちは実際に非常に高いレベルの英語能力を習得してきています。そして一般教科や母語能力においても高い学力をつけ、英語イマージョンクラス以外のクラスの生徒より良い成績をおさめるケースがデータで示されています。